科学者らは、暗黒物質に由来する可能性がある初のシグナルを捉えたと発表した。ただし、確実な検出とするには証拠が不十分だ。標準的な宇宙論モデルによると、恒星や惑星、人間などのバリオン物質は宇宙の15%を占め、光と相互作用しないため目に見えない暗黒物質は85%を占めている。約100年にわたって探し求められてきた暗黒物質の存在は、銀河に及ぼす重力効果によって裏付けられている。
LUX-ZEPLIN (LZ) 実験は、米国サウスダコタ州にあるSanford Underground Research Facilityの地下約1500メートルで、10トンの超高純度液体キセノンを含むタンクを使って行われている。研究者らは、宇宙線から遮蔽されたこの装置で、まれな相互作用を光の点滅として探している。
Bristol UniversityのSam Eriksen率いるチームは、9月1日に日本で開催された2026 TeV Particle Astrophysics Conferenceで、存在が証明されておらず、可視物質より重いWIMPが生じさせた可能性のある弱いUV光のシグナルを報告した。シグナルは既知のバックグラウンドとは似ていなかったものの、観測された事象は1件だけで、バックグラウンドに由来する可能性は約200分の1だった。Physical Review Lettersに投稿された研究で、Alvine Kamahaは慎重な姿勢が必要だと指摘した。類似の事象が監視される予定で、LZでは2028年までのデータで最大でも数件のシグナルが予想されている。
なぜ重要なのか
この結果は、暗黒物質を銀河に及ぼす重力効果だけでなく、粒子相互作用を通じても研究できる可能性を提起している。そのため今回の進展は、宇宙の大部分を占める見えない成分の正体を探る研究や、特にWIMP仮説を検証する研究者らにとって関心のあるものだ。ただし、現時点のデータだけでは、観測された事象が実際に暗黒物質に由来すると結論づけるには不十分であり、バックグラウンドに由来する可能性も完全には排除されていない。未解決の問題は、同様のシグナルが再び観測されるかどうか、またそれらが同じ物理的説明と整合するかどうかである。LZが2028年までに収集するデータは、今回の単独の観測が証拠と呼べる水準に達するかどうかを評価するうえで重要になる。